当院は両磐圏域の中核病院であり、さらには地域がん診療連携拠点病院ということもあり、両磐圏域のみならず宮城県北からも患者さんを多数受けて入れております。診療内容については消化管出血などを初めとする消化器急性疾患、各種消化器癌疾患、炎症性腸疾患やウイルス性肝炎等の消化器慢性疾患を中心に診療を行い、更には糖尿病等の代謝性疾患についても力を入れております。特に消化器領域疾患においては正確な診断を心がけるとともに、治療については内視鏡や超音波等を用いた身体への負担が少ない各種低侵襲治療を積極的に導入しております。消化器領域における地域医療の担い手として、初期診療から高度な専門的診療まで、可能な限りあらゆる状態の患者さんに対応できるよう、日々努力しております。また当院は臨床研修指定病院でもあり、外来および病棟を問わず研修医と共に診療にあたっております。
消化器急性疾患、各種消化器がん疾患、炎症性腸疾患やウイルス性肝炎等の消化器慢性疾患、糖尿病等の代謝性疾患 など
>>上部消化管疾患
食道癌、胃癌に関しては、検診後の精密検査としての消化管内視鏡検査等にて早期発見を念頭に検査を行っております。癌と診断された場合には治療方針の決定に必要な各種精密検査を施行し、進行度に応じた適切な治療方針を患者さんと共に決定します。早期癌の場合で内視鏡治療の適応となるものについては、早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術(ESD)等、より低侵襲な治療を施行しております。進行癌の場合などには外科や放射線科、緩和医療科を中心に他診療科と連携をとり、外科手術、(放射線)化学療法、緩和療法等を集学的に行っております。
食道胃静脈瘤については緊急止血の他、待期的内視鏡治療(食道静脈瘤硬化療法、食道静脈瘤結紮術など)を行っております。
更に近年話題となっている、上腹部症状の原因となるような逆流性食道炎や非びらん性胃食道逆流症、機能性胃腸症等の疾患についても、積極的に治療を行っております。
また胃十二指腸潰瘍の原因の一つとして挙げられるヘリコバクター・ピロリ菌感染については、保険診療および保険外診療にて感染診断や除菌療法を行っております。
他には、消化管出血に対する緊急消化管内視鏡検査での内視鏡的止血術、消化管異物に対する内視鏡的異物除去術、消化管狭窄に対する内視鏡的拡張術等も行っております。
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)について:画質の良いハイビジョンカメラを導入し、さらに狭帯域光観察(Narrow Band Imaging; NBI)や拡大内視鏡、超音波内視鏡等を導入しており、癌の深達度診断などにおいて、より精度の高い検査を行っております。また検査は経口内視鏡(口から挿入する胃カメラ)を基本としていますが、医師と相談のうえ苦痛が少ない経鼻内視鏡(鼻から挿入するカメラ)で施行することもあります。
患者さんの状態により精密な検査が必要な際には、詳細な画像が必要なため経口からの方法をとらざるを得ない場合もありますので、ご相談ください。
>>下部消化管疾患
大腸癌検診後の精密検査として、大腸内視鏡検査による早期発見を念頭に検査を行っています。大腸内視鏡検査は比較的苦痛を伴うことが多い検査ですが、当院では麻酔などの薬剤に頼ることなく比較的苦痛の少ない検査を行うよう心がけて診療に当たっております。診断には高画質のハイビジョンカメラを導入し、必要に応じて色素内視鏡検査、拡大内視鏡検査などの精密検査を行っています。これにより、体に負担の少ない低侵襲な検査で高精度の形態診断を行うことが可能です。また、必要に応じて消化管造影検査やCTなどの放射線診断も組み合わせ、大腸ポリープなどの良性腫瘍から、大腸癌などの悪性腫瘍、炎症性疾患についても診断及び治療を行っています。
進行大腸癌については、他科とも連携し、外科的治療、化学療法、緩和医療などを集学的に行っています。早期大腸癌や良性腫瘍については、患者さんともご相談の上で内視鏡治療を導入し、腫瘍粘膜切除術(EMR)など低侵襲の治療も行っています。
また炎症性疾患としては、一般的な感染性腸炎だけでなく、炎症性腸疾患といった特殊な疾患に対しても内科的治療を行っています。
>>肝疾患
岩手県南では唯一肝臓専門医の常勤する総合病院として、各種ウィルス性肝疾患、自己免疫性肝疾患、肝硬変その他肝臓病全般の診断・治療を行っております。
更には肝硬変に合併する胃静脈瘤に対する治療法としての、バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)なども当科でカバーしています。
特に、昨今話題のC型慢性肝炎に対するインターフェロンによる治療実績は、岩手県内は固より、東北地方でもトップクラスの症例数を誇ります。単にインターフェロンを投薬するのみならず、症例毎の必要に応じ、ウィルス除去療法や部分脾動脈塞栓などの方法を駆使し、治癒の可能性を最大限追求する方針としています。
また、肝細胞癌の治療実績も岩手県ではトップクラスであり、外科的肝切除も積極的に行っていますが、非常に多くの症例が当科における経皮的ラジオ波焼灼療法、エタノール局注療法、肝動脈塞栓術や持続動注療法、ソラフェニブ投与などと言った手段により治療されています。これら外科的切除や放射線療法以外の、肝癌治療の代表的治療法のほとんどを単一科として遂行出来る技術を有するのは、おそらく県内では当院消化器科のみであり、これにより、早期肝細胞癌から高度進行肝細胞癌に至るまで、症例に応じて非常にきめ細やかに、最大限の治療効果や延命効果、最小限の合併症を目指した治療が可能となっています。
>>胆道・膵疾患
胆管癌や胆嚢癌などの胆道癌や膵癌については、CTやMRI(MRCP)、ERCP等の画像診断を行い進行度に応じた治療方針を決定し、外科や放射線科、緩和医療科を中心に他診療科と連携をとり、外科手術、(放射線)化学療法、緩和療法等を集学的に行っております。閉塞性黄疸や胆道狭窄を来した場合には内視鏡的胆道ドレナージ術や経皮経肝胆道ドレナージ術を行い肝保護や黄疸の軽減を図り、安全な外科手術の遂行やQOL(生活の質)の改善に繋げます。
急性胆嚢炎等の胆道感染症については、病状に応じて保存的治療、内視鏡的胆道ドレナージ術、経皮経肝胆道ドレナージ術等を行っております。また外科と緊密に連携をとり、早期胆嚢摘出術等を含め病状に応じた外科手術が施行できる体制となっております。
総胆管結石症については、積極的に内視鏡治療を行っております。
急性膵炎についても全身管理等含め保存的治療を中心に治療を行っております。
>>糖尿病
栄養指導や各種経口血糖降下薬、各種インスリン製剤での血糖コントロールを行い、外来を中心に糖尿病診療にあたっております。インスリン導入や糖尿病性昏睡などの重症例の場合などには、入院での糖尿病診療も行っております。
<検査、治療件数(2017.4~2018.3)>
上部内視鏡検査 | 2542 |
食道・胃EUS | 49 |
内視鏡的食道粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術) | 3 |
食道狭窄拡張術(拡張用バルーンによるもの) |
30 |
食道ステント留置術 | 6 |
食道APC(止血) | 0 |
食道APC(腫瘍切除) | 0 |
内視鏡的硬化療法 | 13 |
内視鏡的食道・胃静脈瘤結紮術 | 5 |
内視鏡的食道及び胃内異物摘出術 | 5 |
内視鏡的胃ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜切除術・粘膜下層剥離術) | 51 |
内視鏡的胃ポリープ・粘膜切除術(その他のポリープ粘膜切除術) | 3 |
内視鏡的胃・十二指腸ポリープ・粘膜切除術 | 2 |
内視鏡的消化管止血術 | 131 |
内視鏡的胃、十二指腸ステント留置術 | 13 |
内視鏡的胃、十二指腸狭窄拡張術 | 23 |
胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術) | 30 |
胃アルゴンプラズマコアグレーション(止血) | 12 |
胃アルゴンプラズマコアグレーション(腫瘍切除) | |
小腸結腸内視鏡的止血術 | 13 |
小腸・結腸狭窄部拡張術(内視鏡によるもの) | 2 |
小腸ファイバースコピー(カプセル型内視鏡) | 2 |
小腸ファイバースコピー(その他) | 1 |
下部内視鏡検査 | 1319 |
内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術 | 330 |
早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 | 40 |
下部消化管ステント留置術 | 31 |
大腸APC(止血) | 5 |
注腸検査 | 9 |
肝TAE(TACE) |
54 |
肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(一連として) | 7 |
内視鏡的胆道ステント留置術 | 23 |
内視鏡的胆道拡張術 | 25 |
内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみのもの) | 62 |
内視鏡的乳頭切開術(胆道砕石術を伴うもの) | 3 |
内視鏡的胆道結石除去術(胆道砕石術を伴うもの) | 3 |
内視鏡的胆道結石除去術(その他のもの) | 20 |
胆嚢外瘻造設術 | 3 |
経皮的胆管ドレナージ術 | 62 |
経皮経肝胆管ステント挿入術 | 4 |
内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術(ENBD) | 5 |
経皮的肝膿瘍ドレナージ術 | 1 |
大腸EUS | 1 |
内視鏡的膵管ステント留置術 | 18 |
胸水・腹水濾過濃縮再静注法 | 45 |
腹部エコー | 1585 |
造影超音波 | 4 |
午前 午後 |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 備考 | |
新患 | 午前 | 横沢聡 | 佐藤馨 | 千手倫夫 | 阿部出 | 本田純也 | |
再来 | 午前 | 阿部出 |
千手倫夫 |
横沢聡 牛山心平 |
横沢聡 | 千手倫夫 阿部出 佐藤馨 応援:東北大学 (肝臓外来) |
|
午後 | 菅野記豊 (肝臓外来) |
||||||
糖尿病 外来 |
午前 | ― | 高橋圭 (応援:東北大学) |
― | (応援:東北大学) | ― |
※新患、再来ともに、上記医師以外に他の医師が担当になる場合があります。
医師名 | 役職 | 卒業年 | 主な資格等 |
横沢 聡 (よこさわ さとし) |
第1消化器内科長 |
2001年 |
日本消化器病学会 消化器病専門医 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医 指導医・東北支部評議員 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医 日本癌治療認定機構認定 癌治療認定医 日本消化管学会 胃腸科専門医・指導医 日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医 日本胃癌学会 日本医学教育学会 医学博士 |
千手 倫夫 (せんじゅ みちお) |
第2消化器内科長 |
2003年 |
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医 日本消化器病学会 消化器病専門医 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医 日本肝臓学会 肝臓病専門医 産業医科大学産業医学ディプロマ |
本田 純也 (ほんだ じゅんや) |
内視鏡科長 |
2008年 |
日本内科学会 認定内科医 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医 日本消化器内視鏡学会 指導医 日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医 日本消化管学会 胃腸科専門医・指導医 医学博士 |
阿部 出 (あべ いずる) |
消化器内科医長 |
日本内科学会 内科認定医 日本消化器病学会 日本消化器内視鏡学会 日本炎症性腸疾患学会 |
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佐藤 馨 (さとう かおる) |
医師 |
日本内科学会 日本消化器病学会 日本消化器内視鏡学会 |
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日野 裕也 (ひの ゆうや) |
医師 |
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